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 2018年12月13日(木)

「多施設型ポートフォリオ発表のポスター発表 in 京都」

  • 2009年11月 5日(木)
  • 閲覧件数
    4,827

KCFMシニアレジデントの中村琢弥です。
09年家庭医療学会にてポートフォリオについてのポスター発表を行いましたのでその報告を行います。
 

2009年8月、京都にてプライマリケア関連合同学会(含:家庭医療学会)が開かれました。
私の所属するKCFMからも何か発表をしようという動きがあり、この度私がポスター発表をする機会をいただけましたため、その活動を報告いたします。

今回の題材は「ポートフォリオ」というものについてです。

以下は当日の発表原稿を少し改訂したものです。

ポスター

「ポートフォリオ」とは、そもそもは建築家やジャーナリストなどが活動歴などとして情報を一元化するツールを指す言葉であり、それらを見渡すことで、その人の数値化しにくい個性や能力を提示しうるとされ、主に教育ツールとして教育界や医療界にて昨今注目を集めている概念です。

このポートフォリオ学習を使用した、日常診療の様々を記録し、振り返ることが臨床の学習法として重要視されております。先に第一回を迎えました「日本家庭医療学会認定家庭医療専門医」の認定審査では、このポートフォリオの提出が義務づけられており、評価の対象となっています。

よって、全国各地の家庭医療の認定プログラムではポートフォリオ学習が各々導入されることとなりました。しかし、作成されたポートフォリオが比較検討される場は少なく、その形式も各施設が思い思いに施行しているのが現状となっております。

私の発表内容はこれらを背景として、私達グループが09年3月に開催しました多施設型ポートフォリオ発表会の報告、ならびに同発表会を振り返ることで、現在の学会の規定するプログラムでの研修医の学習傾向を考察することとしました。さらに、本発表会の学習効果を考察し、今後のよりよいあり方を創造することを目的としました。

本発表会を受けました本研究の考察対象としましては、発表者のテーマ選択の傾向、その発表内容に使用されていた学習領域や技法について、さらには本発表会の終了後に施行されましたアンケート内容、以上を材料としまして、考察をしていきました。

本発表会の結果ですが、まず選択されたテーマとしましては全ての発表者が「患者中心・家族志向の医療を提供する能力」の項目から発表しておりました。

また発表内容はさまざまな内容が自由に取り扱われていたわけですが、とくに目立ったのは終末期関連の内容で実に5人が取り扱っていました。また行動変容関連の領域も3人が取り扱っておりました。家庭医としてよく話題にされる家族図は4名の発表にて提示されており、やや少なめの印象を受けました。

ポートフォリオ発表会

本発表会終了後のアンケートからは様々な内容が寄せられましたが、その中から代表的なものを抽出しました。まず良かった点として、様々な視点のポートフォリオが共有できたことです。これはポートフォリオ学習の狙い通り、経験を客観化することの大切さを知ることが出来たとのことです。さらに後期研修医のニーズや各プログラムの特色を知り、交流する貴重な機会となったことも挙げられていました。また家庭医療学の代表的な手法の具体的な例示がなされ、非常に勉強になったとの声も多数寄せられておりました。

反面、発表テーマに偏りが生じ、より幅広いテーマの発表があればとの声もありました。またポートフォリオ学習の特徴でもあるのですが、その自由な形式故に統一感に欠けているとの声もきかれ、比較検討のしやすさも大切では、との声もきかれました。また発表後のディスカッションにしてもより工夫すればさらに盛り上がったのではないかとの声もきかれ、参加者の関心の高さを伺わせました。

今回、私達グループが主催した形で多施設型のポートフォリオ発表会を施行することが出来たわけですが、このような形式の発表会はこのような点において有効と考えました。
まず、後期研修医の研修状況を把握する点です。これはポートフォリオ学習を通じ、総合的な到達度の評価の場となりうることを感じさせました。
またこれまで機会の少なかったとされる各研修プログラムの特徴を比較検討する絶好の機会となるのではないかと考えました。
さらに日本ではまだまだ認知されていない家庭医療学の具体的な手法の例示とその共有にも有効ではないかと考えました。

中村医師

さて、今回はポートフォリオをその題材としたわけですが、このような発表会を行うに当たって、その評価や比較が問題となりました。ポートフォリオはそもそもが数値化しにくい能力などを評価するツールなため、自由な形式をとることとなっています。そうすることで新たな発想からの発表やアイデアが期待でき、個性や特色を尊重できるものとされています。その反面、公の評価の際には比較が困難となることが問題となりました。これは一定標準化することが求められるわけですが、標準化することで比較検討が容易になる反面、定量化しにくい概念をあつかっているため、方法には一定工夫が必要となります。このバランスをとることが、今後のポートフォリオ学習を続けていくにあたって大切となるのではないかと考えました。

結語としては、多施設型ポートフォリオ発表会では研修状況や家庭医療学的手法の共有が出来るなどで有効でしたが、発表形式の標準化などの課題が浮き彫りとなりました。しかし、このような発表の場は家庭医としての精神や能力を深める絶好の場であり、今後も私達グループとしては続け、発展させていきたいと考えております。(終了)

以上の内容をポスターにして発表したことになります。
さらに詳細・当日の様子は動画がアップロードされておりますのでそちらをご参照下さい。

さて、実際にポスター発表してみた感想を表現するならば、「とにかく緊張した」ということと「やれば出来るものだ」というものでしょうか。

まずポスター作成です。このような正式な学会でのポスター作成の経験など私には初めてのことで本当に最初は右も左も分かりませんでした。なので、まずは情報を集めようとネット検索や本を調べてみたところ、あるわあるわ、同じようなことで悩む人の情報とその対策法が。

いくらか調べている内にわかったことは以下の通り。
 

  • ポスターは一枚刷りのほうが圧倒的に見栄えは良い
  • ポスターの書き方はルールこそ無いものの見栄えの良い配置を意識したものは確かに存在し、それらをまずは模倣してみるのがよい。
  • 配色はなるべく少なく、バックは白が無難。
  • 縦長なら下1/4くらいのスペースはほとんどみてもらえないため、大事なこと(伝えたいこと)はなるべく上の方に書く。
  • フォントサイズは30以上推奨。明朝などではなく、ゴシック体のやや太めを選択する。
  • 使用するソフトは「イラストレーター」が使用できればベストだが、凝った中身でなければ「パワーポイント」で十分対応可能。ページ設定で一枚のページをポスターサイズに拡大して作成する。
  • 作成したファイルは互換性の問題を考え、PDF化を施し、近くの印刷屋にて印刷を依頼する。PDFならほとんどの業者でOKのようす。
  •  一枚の印刷は7,000円程度。(今回は特殊なサイズのため、2枚分の値段がかかってしまった。)
  • ポスターと合わせてハンドアウトなども用意しておくとよい。
  • 可能なら発表者の名刺なども同時に配れるように用意しておく。

 
以上がポスター作成に当たって注意した点です。

実際に発表したようすは動画がアップロードされているのでそちらをご覧下さい。

Nakataku プライマリケア学会ポスター発表リンク

さて、発表そのものの感想は緊張してしまい、また時間を気にしてかなり早口になってしまったということがあります。もう少しゆっくりはなせるように内容を整理した方がよかったかもしれません。またなるべく聴衆のほうを向いてはなさなければなりませんね。これはあとからビデオで復習して気付いた点です。

しかし、初めての発表ということでは概ね良かったかなと思います。何より発表すると決めて、最後までやり通すことができた達成感がありました。自分の中で「ポスター発表」に対する敷居が低くなったように思います。

Next stepはさらに題材を煮詰めること、またポスター発表以外の発表(学習会やパワーポイントの症例発表など)に挑戦することでしょうか。まだまだシニアレジデントの1年目のため、どんどん挑戦していきたいですね。

長くなりましたが、以上で報告を終わります。