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 2018年12月10日(月)

第5回「家族志向のケア(3) 「生物心理社会的アプローチ」とは」

  • 2009年12月15日(火)
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家庭医療とは

<医学の進歩と生物医学モデル>
家庭医の起源は古代ギリシャの時代にさかのぼります。
このころはシャーマン(祈祷師)とよばれる人物が現代の医者と同じような役目を果たしていたといわれています。
もちろん内科・外科の区別などありませんでした。

玉木医師

ところが、近代になると、病気の原因を分子や細胞レベルで解明しようとする医学的関心を背景に、医師自身も人間全体を見ていたジェネラリスト(総合医)から下の図に示すところの右の方向、すなわち臓器や細胞、原子のレベルを志向する専門家に分化するようになります。

このように、病気の原因を臓器や細胞に求めるアプローチを「生物医学的アプローチ」といいます。

図、生物心理社会的医学モデル

<Engelの提唱する生物心理社会的アプローチ>
病気の発生因子を分子細胞レベルに求めることにより、社会因子や心理学因子は無視されます。
しかし、これまでにも述べてきたように人間が体の不調を訴えるとき、そこには臓器的な問題や遺伝子のような分子生物レベルの問題だけにとどまらず、その人をとりまく心理状況や社会背景からも多大な影響を受けます。
George Engelは彼が発表した1980年の論文の中で、「生物心理社会的アプローチ」を提唱し、病気を理解するためには生物医学的アプローチだけではなく、もっと大きな枠組みの中でとらえる必要があることを説きました。
すなわち、臨床家は病気を理解するために、生物医学的な側面に注意を注ぎながら、同時に患者の人間としての側面や、患者―医師関係、家族、社会背景といった側面にも目を向けて、これらの因子がどのように結び付いているかに着目することが必要であると説いたのです。
家族志向のケアでは、病気の発生や回復に家族のかかわりが大きく影響しているという考え方を基本としており、この生物心理社会的アプローチを基本原則としているのは言うまでもありません。

京都協立病院 内科医長 玉木 千里