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 2018年5月22日(火)

田頭弘子先生を講師に開催したレクチャー&ワークショップの報告

  • 2010年3月10日(水)
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    3,598

田頭弘子先生に京都協立病院にお越し頂き、次のとおり「レクチャー&ワークショップ」を開催しましたので報告します。

玉木 千里

日時:2010年2月11日(木) 9:30~15:00(実質275分)
形式:レクチャー&ワークショップ
場所:京都協立病院・第1会議室
参加者:管理職および医局メンバーで総勢16名
トータルスーパーバイザー兼講師:田頭弘子先生
タスクフォース:玉木、河合さん(杉山事務長)、太田先生

1、レクチャー①「学習する組織およびヒューマンキャピタルマネージメントについて」
ア)Human Capital Management / Human Resource managementの考え方
イ)Appreciative Inquiryの方法
ウ)医療の質について
エ)医療の継続的質改善活動について
オ)病院幹部として

の5つのテーマについてのお話。
「実はあなたたちはこんなにすごいんだよ!」というメッセージを話のあちこちにちりばめてappreciativeな話になっておりました。
マイナスなムードをプラスにかえる力を感じた心地よいプレゼンテーションでした。
幹部の心に感動が芽生えて、前向きなモチベーションとなればいいなと感じました。

2、レクチャー②「経営学基礎入門」
太田先生によるレクチャー
「財務諸表」ってそもそもなんのためにあるの?という素朴な疑問から、資産や資本、損益の見方などの基本をわかりやすい例えを用いて解説していただきました。また、経営を考える上では、外向けの決算書とは別に、数値を合理化した内向けの決算書を作成する必要があるという重要な提言をいただきました。
個人的には、証券会社の社員は簿記3級取得が必須とされる、という話に刺激をうけました。
経営に参画する組織幹部はそれくらいの経営的知識は持っているのと持っていないのではかなり差があるという印象を受けました。

あと、このレクチャーを聞いてあらたなアイデアが!
たぶん、家庭医の「経営マネジメント能力開発」というテーマでこの手のWSを開催すればかなり受けるはず!と。
当日の会場の雰囲気からも確信を得ましたが、この領域は結構みんな苦手意識が強くて事務方に丸投げしていることが多いのではと思われます。
是非みなさんで検討しましょう。

3、現状分析「当院データの分析」
事前に田頭先生から提供するよう指示をいただいたデータをもとに当院の外来運営の弱点と今後の戦略についてプレゼンテーションしていただきました。
ほぼ1日の仕事にもかかわらず、綾部市の地域人口とそこからの受診者から受診率を割り出し、得意な地域と苦手な地域をビジュアル的に示していただいたのはまさに圧巻でした。
これまで、とりあえずエクセルで数字の羅列を示すだけだった現状にも現れていますが、特にデータ分析に基づく現状把握とそこから生まれる戦略性の打ち出しが圧倒的に乏しいという不満が悶々とたまっていました。
田頭先生の分析の手際良さは当院幹部にはかなりインパクトが大きかったようです。

4、ワークショップ
①「今後の協立病院のあるべき姿」
②「経営を改善するには」
2チームに分かれて上の2つのワークショップを行いました。

①の方では、あらかじめ回収したbalanced score
cardにある4領域(財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点)についてのアンケート結果をもとに田頭先生のファシリテーとによるディスカッションが行われました。
テーマが大きすぎて85分間の時間では決して十分とはいえない議論ではあったようですが、その中でも業務プロセスの視点に関するアクションプランまでの落とし込みが可能になったとのことは評価できると思います。事後アンケートでは、このようなディスカッションの機会を定期的に持ちたい、というコメントが多数あり、幹部にとって現状把握と戦略を共有できるこういう機会は関心が高いことが裏付けられました。

②の方では、太田先生のファシリテートによる、経営的な改善計画について議論しました。
太田先生の方から、まずは当院の部署別損益分岐点を出すために、すべての収入をいったん外来と入院に振り分けて、病院全体の費用を各部署ごとに按分する提案がなされました。
こうすることで、各部署がどれだけの収益につながる行為をすればいいのかが明確化し、さらにその月の「がんばり」が評価され、モチベーションの向上につながる、という効果が期待できます。
こちらの方も1月の決算から早速運用してみる、ということで意見が一致し、とりあえずは机上の理論ではなく実践のメドがたちました。


事後アンケートでは、総じておおむね満足してもらえたという意見を得ました。むしろ議論の時間が短くて今後の継続的な討議を希望する声が多かったですが、この企画の意義を考えると1回で終わるものではなくまさにPDSAサイクルをまわしながら継続的にすすめていくプロジェクトであることにもマッチする意見だと考えます。

今回の取り組みでは、幹部間での病院実態の認識の共有はもちろん、「実際に明日からどうする」というプロダクトが出せたことに意義があったと思います。そしてあらたな計画の実践を継続的に進めた結果、組織の質改善がもたらされたというデータが得られれば、パッケージ化して他県連や全国にも発信できるような企画に発展させたいものです。