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 2018年1月21日(日)

2010年夏セミWS報告 「一歩進んだコミュニケーション技法」

  • 2010年8月 8日(日)
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    2,457

中村琢弥です。
2010年に開催されました「第22回 医学生・研修医のための家庭医療学夏セミナー」にてKCFMとしてWSを出展しましたので、代表してその報告を行いたいと思います。

夏セミナーとは正式名称
リンク医学生・研修医のための家庭医療学夏セミナー」<http://family-s.umin.ac.jp/kasemi/index.html>
のことで、若き家庭医を目指す学生・研修医が集い、2泊3日で家庭医療学を中心とした領域の勉強を熱く行うまさに年に一度の家庭医療の祭典です。今回で第22回を数えられるなど、日本の家庭医療の歴史を語る上で欠かせない集会となっており、今回は埼玉の地に実に180名以上もの熱き人々が参加しました。

さて、私たちKCFMメンバーとしては前々よりこの夏セミナーWS参加をもくろんでいた訳ですが、今回面談スキルを全面に出したWSを応募し、選考に通り、見事WS参加を果たしました。その名も「一歩進んだコミュニケーション技法」です!

一歩進んだコミュニケーション技法の画像1

これは面談スキルのWSであり、その中でも特に苦手意識の多い"Bad News Telling (いわゆる告知です)"の"構造的"な方法をかみ砕いて学習する時間とするようにしました。

一歩進んだコミュニケーション技法の画像2

さて、当日は20名以上もの参加者を迎えての会となりました。実際のKCFM側のスタッフとして当日集まりましたのは、メインを張っていただいた高木医師、そして、玉木医師、佐々木医師、太田医師、そして私が各小グループを担当し、事務周りをこのために出向いていただいた影山さんに務めていただきました(感謝!)。事前の準備では惜しくも当日参加できなかったKCFMメンバーの意見を様々に受けて、練りに練った構成を用意しました。

まずはKCFM側のアイスブレイクとしてこの中村が「後出しじゃんけん」を担当させていただきました。参加者の皆さんには内容は重いですが、これから口と体をめいっぱい使っていただいてのロールプレイをしていただく必要がありましたので、元気いっぱいにリードさせていただきました。

一歩進んだコミュニケーション技法の画像3

そして、その次にデモ演技として玉木医師による臨場感あふれる告知シーンをデモンストレーションしていただきました。私はちょっと疲れた患者役をさせていただき、私の妻(笑)役として太田先生に名演技をしていただきました。ここで使用した症例は玉木医師が先日実際に体験したリアル症例であり、実際のCT写真を提示するなど現場の臨場感を出すように意識しました。

一歩進んだコミュニケーション技法の画像4

この後、高木医師による内容説明に入りました。
核となる知識はリンク「P-SPIKES」
<http://theoncologist.alphamedpress.org/cgi/reprint/5/4/302.pdf(PDFが開きます。)>
です。以下にそれぞれを挙げます。
P: Preparation 【準備】 
・・・主に医療者の準備。事前に情報を整理し、計画する。
S: Setting 【環境設定】 
・・・話すための時間的・空間的環境を整える。
P: Patient perception & preparation 【患者の認識と準備】 
・・・重大な発言前に理解や認識レベルを確認し、面談への参加を促す。
I: Invitation & Information 【患者からの求めを確認する】 
・・・患者の面談に対する要求を確認し、適切な情報量を確認する。
K: Knowledge 【告知】 
・・・正確な内容を、思いやりを持って「告知」する。
E: Empathy & Exploration 【共感と反応の引き出し】 
・・・感情面に寄り添い、自由な質問を出しやすいように相手の気持ちを引き出す。
S: Summary & Strategic planning 【まとめと戦略的な計画】 
・・・今後のプランを提示し、いつでも相談できることを確認して終了する。

これらのステップをさらにわかりやすく教えるために私たちはこれらをかみ砕いた「起承転結」アプローチをその後提示しました。
起:準備を大切に!「内容」と「場」を準備する!
承:伝える前に尋ねること、内容は「現状の認識」と「この面談に対するニーズ」!
転:いよいよ告知!正確に告げる!感情面に対応する!
結:最後に内容をまとめて、今後のプランを相談!

ほとんど同じ内容ですが、こうして切り口を変えて再度説明することで実際的な力になるように参加者にアプローチするようにしました。

一歩進んだコミュニケーション技法の画像5

それから本番のロールプレイへと入りました。小グループを8つ結成し、それぞれで、評価者、医師役、患者役を設定、3回行うことで全員にそれぞれの役をこなしてもらいました。今回は低学年もいましたので内容的にはかなり難しく感じたようですが、それでも果敢にシナリオに挑み、それぞれにfeedbackを得たようなシーンが多く散見され、非常に賑やかな学びの空間ができていました。

一歩進んだコミュニケーション技法の画像6
 
さて、やや時間を超過しながら3つのロールプレイを終え、今回のWSを終了としました。最後に質問コーナーを設けましたが、そこでは「家庭医として専門医に送った患者さんに実際的にはどのように関わっているか」という質問を受けました。その質問には私中村が自らの経験の中から答えさせていただきました。

一歩進んだコミュニケーション技法の画像7

「家庭医として継続的に"貴方"に関わるという姿勢を示していくことが大事だと思います。その中で、とある患者さんは何も処方するわけではないのに治療の節目ごとにその内容の報告をするためだけに私の外来受診をしてくれたり、ある患者さんではその紹介先の病院に訪問したりして感謝されたり、ある患者さんではターミナルとなって在宅ケアに移った際に往診帰りに訪問して話をしてきたりしました。これらは私が実際に経験したもので、家庭医としては専門医に送ってそれでおしまい、になるわけでもなく、その先を考えていくことも必要だし、実際そうできるのだと思っています。」

一歩進んだコミュニケーション技法の画像8

今回のWSでは多くの成功と反省を生みました。高木医師が提示してくれたものから抜粋します。

(良かった点)
・段階的コミュニケーションに注目した点
・課題を絞った点
・事前準備がそれなりにできた点(直前のSkype会議も良かった)
・セッションの流れは良かった。
・時間的にタイトであったがロールプレイを3回行えた点。
・要員が5名いて、各テーブル毎に担当できた点。
・ラミネートなどのおみやげ
・デモンストレーション

一歩進んだコミュニケーション技法の画像9

(反省点)
・時間配分 ⇒レクチャーに時間を取りすぎた、振り返りの時間や質問に答える時間を余裕を持って取れた方が良かった。
・そもそも時間が足りなかった⇒内容の絞り込み
・課題の難易度の設定⇒低学年には難しかった

一歩進んだコミュニケーション技法の画像10

今後もKCFMとしては質の高いWSを発信していけるように邁進していきたいです。
今回の報告は以上です。観ていただいた方、当日参加いただいた皆様!ありがとうございました!