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 2018年9月25日(火)

KCFM卒業試験 CSA実施報告

  • 2011年2月22日(火)
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    3,168

加藤医師KCFM卒業試験 CSA実施報告 
文責:玉木

2011年1月29日にKCFM2期生の加藤医師のCSAを行ったので報告します。

【CSAとは?】
CSAとはClinical Skill Assessmentのことで、実際の臨床技能を評価するための試験です。
CSAはプライマリケア連合学会による家庭医療専門医試験にも正式に取り入れらている評価モジュールで、知識ベースの評価である筆記試験だけでは測ることが難しい、限られた時間での意思決定のプロセスや提示されたケースを包括的にマネジメントする臨床能力、さらにコミュニケーション技術を評価することが可能です。

【CSAをKCFMでも実施することになった背景】
2010年の試験で正式に家庭医専門医となったKCFM第1期生の宮川医師から、専門医試験を終えて次のような振りかえりを得ました.「CSAでかなり苦戦をした。知識としてはあっても、当日は極度の緊張頭が真っ白になった、と。」このような体験から、KCFMでも、これまでにあったKCFM卒業試験のMCQ(Multiple Choice Question)とポートフォリオに加えて新たにCSAを加えることとなりました。これにより、研修医がCSAに慣れるばかりでなく、うまく行かなかったポイントをあらかじめ認識することで、効率の良い学習に繋がると考えました。

【CSAの方法と内容】
2011年1月29日 18:15~19:30まで
対象:加藤医師(KCFM後期研修医3年目)
主評価者:寺本 
患者役(評価者);佐々木、宮川、玉木
設定:診察室をお借りしました。4つのケースについての前情報を試験直前に知らせ、各セッション前に簡単な前情報を提示しました。各セッションの問題は主評価者から出されました。

KCFM卒業試験CSA実施報告

実際の専門医試験は、1題12分で全8題あるのですが、今回は本試験のミニチュア版という設定で、全4ケース用意しました。
各事例については、指導医がシナリオと問題および解答を作成し、事前の打ち合わせの中で評価の方法を決定しました。出題様式は、実際の本試験を受けた宮川医師の話を聞いて、できるだけ本試験に近くなるようにしました。
また、当日は参加できない指導医もいるため、評価の信頼性と妥当性をより高めるために、セッションをビデオ撮影し、後に全指導医でレビューすることで全体の評価を行うこととしました。
全例を終了した後、スタッフと加藤医師で、振りかえりを行いました。
今回取り上げた全4問のテーマは以下の通り

#1:検診で肝障害を指摘されたアルコール依存症の60歳男性
#2:検診で糖尿病を指摘された56歳女性
#3:自信のない関心期にある50歳男性に対する禁煙指導
#4:発疹と3日間続く2峰性発熱を主訴に受診した1歳6ヶ月の女児

KCFM卒業試験CSA実施報告

【第1回CSAの結果】
加藤医師のパフォーマンスの評価は大変高いものでした。
1例目では、肝障害の鑑別を挙げながらCAGEによる依存度の評価を行い、禁酒の指導を行いました。

2例目では、HbA1C:9.7%で尿ケトン陽性と体重減少がありインスリンの適応だが、インスリン治療を拒む、という設定でした。レベルの高い設定でしたが、1型糖尿病を除外しながら、患者に配慮して話を進め生活指導を行い、最終的にはインスリン治療の同意を得ました。

3例目については、圧巻の出来映えでした。自信度を高めるアプローチを行い、見事に行動変容を促すことに成功しました。

ここまでは、かなり完成度の高い出来でしたが、4例目は、やや苦戦しました。発疹性発熱疾患の鑑別を上げる中で麻疹の診断に至ってもらうことを想定していましたが、最終的にはそこに到達しませんでした。原因としては病歴と身体所見が口頭による返答となるため、発疹などのイメージがつきにくかったとおもわれました。また、シナリオの設定も出題者の意図を汲みにくいものであったかもしれません。

KCFM卒業試験CSA実施報告

【個人的な感想】
CSAを終えて、1参加スタッフとしての率直な感想は、加藤医師の現場での臨床能力がほぼリアルに評価できるこのモジュールは大変評価の上では有効と感じました。加藤医師の等身大の姿にかなり近い評価ができたと思います。ただ、宮川医師も言うように本番では緊張により実力通り出せない可能性もあるとは思われましたが、その点を克服するためにもこのプレテストは有効であったと思われました。また、今回記憶が鮮明なセッション終了直後に指導医からのフィードバックができたのも良かったと思います。

【課題】
一方、出題者側の課題も明確になりました。
今回初めてということもありますが、事前に行うシナリオの準備を担当性にしたため、最終的に出題形式や評価の仕方など統一したものに直す必要があり、それに手間暇がかかりました。また、出題者の意図を汲みやすくするために、シナリオ設定にもっと配慮が必要であると感じました。例えば、身体所見では皮診の写真を用意してより視覚的な情報を補う、といった工夫があった方がいいと感じました。しかし、これらも回を重ねるごとに徐々に洗練されていく問題かもしれません。
さらに、患者役は可能ならSPさんを利用できればいいと思われました。

【まとめ】
・今回KCFMの卒業試験試験の一環として卒年の後期研修医に対し初のCSAを行った
・研修医の生の臨床技能をかなりリアルに評価できる優れたモジュールと思われた
・出題形式とチェクリストの洗練(より本番に近似したものを目指す)や、出題者の意図を組み易いようなシナリオ設定が今後の課題と思われた
・来年度以降も是非継続が望ましいと思われた

以上