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 2018年7月22日(日)

湘南鎌倉総合病院WS 「医学教育ポートフォリオ」

  • 2011年11月 7日(月)
  • 閲覧件数
    3,729

中村琢弥です。
2011年11月4 日に神奈川県にあります湘南鎌倉総合病院にてWS講師をいたしましたので
その報告を行います。

 今回はかつて私が2010年1月から3月の3ヶ月間、短期ER研修として受け入れていただいた湘南鎌倉総合病院にてWSをする機会をいただきました。湘南鎌倉総合病院とは日本でも有数の有名研修病院であり、初期研修医だけでも約30人が日夜臨床に励んでいる大病院です。お世話になったER医師より教育手法として「ポートフォリオ」について話をしてほしい、と私に白羽の矢が立ちました。

まず、率直に今回このような声かけがあり、私はただただ感激でした。ここで研修していたのはたった3ヶ月でしたが、非常にお世話になった病院でした。その先生方にこのような形で"ご恩がえし"が出来る機会を頂き、また再びあの熱心な皆さんにお会いできることが本当に楽しみでなりませんでした。二つ返事で承諾し、準備にとりかかりました。

湘南鎌倉総合病院WS「医学教育ポートフォリオ」

内容としてはポートフォリオについて、ということでほぼボートフォリオの文化がないところに講演をしにいくこととなります。そして、忙しい医師の時間を2時間も拘束するということにもなり、「絶対損した気持ちにさせない面白い会にしたい!」という思いもあり、まずは学習計画を入念に立てるところから始めました。

以下は学習計画の一部です。


タイトル
「実践!医学教育ポートフォリオ!-貴方の臨床の学びに新たな風を!-」

【PANIC】

  • P:Purpose 目的を理解しているか?

湘南鎌倉総合病院では現在教育手法の新たな開発に取り組んでいる様子。その中でたった3ヶ月ではあるもののERレジデントOBで、実際にポートフォリオ手法の実践者である私が、その医学教育におけるポートフォリオの実際を伝えることがメインの目的。つまり「知識の伝達」と「その手法におけるコアスキルの錬磨」が目的となる。また私自身の裏テーマとしては恩師への恩返しの意味もある。

  • A:Audience 聴き手は誰か?

湘南鎌倉総合病院 ER医師 総合内科医師 初期研修医 総勢20-30人ほぼ全員医師で構成されているのが今回の特徴。

  • N: Need 聴き手の求めているものは?

実際の参加者からニーズを聴取することは今回困難。
主催いただくER医師のニーズとしては総合医を目指す医師が多い中で自分の成長がどこまで進んだのかを定量することが難しく悩む医師が多いとして、ポートフォリオ手法を学びたいとのこと。→ 総合医の学びの定量に触れることは必要。難しいのは今回学習者と指導者が混在していること。その両者に役立つセッションである必要がある。

  • I: Information どんな情報を盛り込むか?

【ポートフォリオとは】


・ポートフォリオの定義
・なぜ医学教育にポートフォリオなのか?どう有用なのか?
・レポートとはどのように違うのか?

【ポートフォリオ学習・評価とは】


・Annual portfolio(目標設定)の大切さ
・内容の蓄積方法
・振り返りの方法
・評価方法:ルーブリックの存在 (その領域について何段階かに理解度・到達度を設定した評価基準。事前に策定する必要あり)


【効果的な振り返りのために】


・メンターの存在・よきメンターとなるには?
・メンターが行うべき構造的質問

  • C: Communication 伝える準備はできているか?

・ツールのメインはスライドプレゼンテーション。最も使い慣れた方法で勝負。
・一部簡単なWSを設定する。特にメンターが行う構造的面談についてはロールプレイの対象。
・ラミネートカードを使用した要点まとめの持ち帰り資料を用意する。


●一般目標
医学教育におけるポートフォリオ学習・評価を学ぶ


●個別目標
知識:ポートフォリオとは何か説明できる。
技術:振り返りで使用する効果的なアプローチ方法が実践できる
SMARTを意識した目標設定が出来る。

1.はじめに
 1990年代、医学教育のトレンドはプロセス重視型教育からアウトカム基盤型教育に移行し、プロフェッショナリズムなどのアウトカムが重視されるようになった。その流れを受け、医学教育の手法としてポートフォリオが使用されるようになってきた。

ポートフォリオは臨床現場で実際に行っているパフォーマンスが評価できるツールとして有用であり、同時にアウトカムを意識しながら日々診療して、振り返りを行うことで診療の質を向上させるなど、学習ツールとしての有用性も合わせ持つ。

しかし、実際にはポートフォリオとはそもそもどのようなものなのか、それはどのように現場に落とし込めばよいのか、十分学ぶ機会がないのが現状である。
今回は総合医・ER医、そして初期研修医を対象にポートフォリオの実際とその活用方法を学習者に提供することとなった。
 
2.教育方略
今回は知識領域を扱う内容。形式はグループディスカッションを重ねつつのWS+講義形式とする。

3.講師
中村 琢弥 (京都家庭医療学センター)
 
4.準備


・PC 
・プロジェクター 
・レーザーポインター 
・配付資料 スライド資料のコピー
・ラミネートカード 
・WS使用の専用用紙
・アンケート


5.WSスケジュール


1)自己紹介・謝辞

2)アイスブレイキング 必ず拍手で終了するルール!


1,名前
2,何年目 専門分野・・・etc
3,最近医師として成長したイベント(30秒で!)
4,一人「学習者」役を決めましょう!


3)ポートフォリオについての講義1

4)GW1 「目標設定」トレーニング 「知識」「技術」「態度」に分けての目標設定。SMARTを意識。

5)共有

6)ポートフォリオについての講義2

7)GW2 「構造的振り返り」トレーニング 4領域の振り返り、エントリー領域を意識したメンタリング

8)共有

9)まとめ

10)アンケート記載 質疑応答

上記を元に、セッションを構成し、各資料を用意することとなりました(今回は大変難産でした・・・)。
ラミネート資料はScribdにて共有しております。
http://www.scribd.com/doc/71696267

湘南鎌倉総合病院WS「医学教育ポートフォリオ」

さて、新しくなった湘南鎌倉総合病院に来るのは初めてだったため、そのきれいさに感動しました。懐かしいメンバーとも再会し、いざセッション開始となりました。セッションには予定通り、初期研修医、ER・総合診療部の後期研修医などを中心に集まっていただいたのですが、それ以外にも指導医クラスの医師も集まっていただき、総勢30人前後にて進行することとなりました。大変忙しい勤務でお疲れにもかかわらず、こんなにもたくさんの方に聞いていただけて本当にうれしい限りです。

湘南鎌倉総合病院WS「医学教育ポートフォリオ」

全体的にはなるべくフランクな雰囲気でSGDが盛り上がるように、しかし緊張感が途切れすぎないようにファシリテートしながら進めていきました。今回はスライドもかなり工夫を施し、Zen+高橋メソッド風に装飾、私自身はボディーランゲージを多用する形で伝える内容を強調しました。途中のSGDでは学習者役とメンター役にわかれ、「医師として最近楽しかったこと・成長したこと」を最初に挙げてもらい、SMART法を用いた有効な目標作成セッション(知識・技能・態度領域に分類)、そして、構造的振り返りセッションにてさらにそれをアウトカム領域に割り振りして、メンターとしての経験も積んでいただくなど、全体として一貫した流れを形成、これらを通して、ポートフォリオ作成を疑似体験していただけるようなものとしました。
結果、最後まで勢いは途切れることなく、予定の2時間できっちり終了しました。学習者役には報償として「京都土産」をプレゼントし、楽しい雰囲気のまま終了することができました。感触もよく、参加者もいくつか新しい気付きをえていただけたようでした。また指導医クラスの先生からは、私のプレゼンテーションなどについて評価いただき、非常に満足いただけた内容であった旨を直接伝えていただきました。

湘南鎌倉総合病院WS「医学教育ポートフォリオ」

Next Stepとしては、ファシリテートの問題です。今回4テーブルに分けて進行したのですが、流石に私一人でファシリテートするにはかなり難しい状況でした。例えば、テーブルによっては詰まってしまって議論がしばらく進行しない状況が発生し、そこへ私が急いでファシリテートしにいく、というシーンがあったことは反省です。やはり大人数を扱うときの手法を学び直し、私自身のファシリテーション技術も錬磨する必要があると感じました。またポートフォリオそのものが「時間がかかるもの」と思った方もおり、そういう意味では組織の文化から実施がかなり難しいものと認識されたこともありました。ここは対象は忙しい環境の中でこれらの教育スキルを使用するということも考慮し、よりコンパクト化した短時間化できるポートフォリオ手法の紹介も扱えば、もっと実現可能なものとして感じてもらえたかもしれないと思いました。

湘南鎌倉総合病院WS「医学教育ポートフォリオ」

今回は非常に私自身にとっても大きな成長につながる会となりました。湘南鎌倉総合病院の皆様、本当にありがとうございました!