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 2017年12月18日(月)

映画から学ぶ医師のプロフェッショナリズム

  • 2013年8月22日(木)
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瀧本しおりです。今回家庭医療学夏期セミナーでワークショップを行いましたので、その報告を行いたいと思います。

2013年8月11日に湯河原で開催された家庭医療学夏期セミナーでKCFMによるワークショップを行いました。
参加者16名(看護学部3年、医学部3年から6年、初期、後期研修医師)、スタッフ、見学者含め30名の参加がありました。
KCFMによるシネメデュケーション(映像を用いた臨床医学教育)は前年度に続いて公式には2回目となります。家庭医療学には「地域で働く。」「あらゆる年齢層を診る。全身を診る。」「臨床研究。」「体系だった医学教育を行える。」という側面があります。「双方向性である。」「リテラシー能力:情報が正しいかどうか自ら批判的に考え判断する。」「個々人の考え、意見を出して皆で共有しディスカッションすることで新しい気付きや変容を個人にもたらす。」ということがこの映像を用いたシネメデュケーションのレクチャーの特徴です。アイスブレイクはグループ内で「最近、プロの仕事だと感じた人の紹介」を話して盛り上がった後に導入のレクチャーがありました。前半はなぜ「プロフェッショナリズム教育」についての議論が出てきているのか、社会的な背景について説明がありました。医師のプロフェッショナリズムを育む環境、経験の側面で先輩の現場での言動に医学生や研修医が影響を受けているという「隠れたカリキュラム」について言及しました。特に議論の対象となっているのは医師の知識や技術の側面ではなく、態度や行動の領域であることを確認しました。その後に映画「レナードの朝」を観てセイヤー先生のプロの医師として良い面、反感を感じる側面についてKJ法を用いてディスカッションしました。グループ発表の後、後半のレクチャーでは前半の社会的な背景を受けて、現状を改善するための組織のプロフェッショナリズムを育むシステム「Appreciative inquiry」の紹介をしました。(ありがとうカードの実例紹介。)その後、医師のプロフェッショナリズムの本質「他者からの信頼を得る振る舞いのことである。」(演者のまとめのことばで既出の定義ではない。既出の全ての定義を一言で述べるという視点である。)最後にtake home massage「周囲への影響を考慮した言動で周囲に良い変化をもたらす。」「自らの思考過程を振り返り、言語化する作業。」「感情のコントロール。」を伝えました。最後に質疑応答がありました。


参加した学生さん、見学者の先生の直接、間接の質問、感想を紹介します。「家庭医の振り返りの学習法をもっと知りたい。」「個人以外に組織としてのプロフェッショナリズム育成について学習を深めて行きたい。」「失敗から学ぶ姿勢も大切で明日からまた頑張ろうと思えた。」一方でプロフェッショナリズムという概念そのものが参加者全員の腑に落ちない物であることは当然であると私は感じました。それは倫理の勉強と同じで正解のない問題を考えることと同じ作業だからです。映画を観てその人の年齢や経験に応じた様々な感想がでるのと同じで何を良いと感じるかは個々人の価値観によることが大きいと感じます。自分の理解した内容を自分の言葉でまとめ直す作業をセッションで試みましたが、今後の改善点です。敢えてわかりにくいことを言語化して他者と話す姿勢は継続したいという私自身の学びがありました。私自身が12年目の医師ですが、完全な人間でなく、むしろ発展途上の人間としてこのテーマをみんなと考えたいとセッションの冒頭で伝えました。自分の主義、主張を聴いている学生さんに押し付けるより、KJ法の議論の発表やポストイットの意見で良い意見や鋭い指摘があればそのことについて皆で話しあえたことは良かったです。単純に「良い映画ですね。」で終わるのでなく、学生さんたちが患者さんの視点に立った気付きが多く出されました。自分の人生のために医師になるのであって「他者から信頼を得るための振る舞いのことである」というのは自分にとって新鮮な気付きだと質疑応答で発言した学生さんもいました。その後ポスターセッションでその学生さんと会ったとき「医者である前に人間として幸せじゃないと患者さんに良いケアってできないじゃない?」と伝えました。自らの臨床医としての出発点を描いた神経内科医のオリバー•サックス医師がその後も同じ病院で同じ脳炎後遺症の患者さんの診療にあたっていることもセッションで紹介しました。映画で描かれた医師としての苦痛に満ちた経験を経てもなおミミズより人間が好きになり、試行錯誤を現実の診療で継続していることは思考停止や自己満足している人間ではないことを伝えたいと思います。